氷の博物館

製氷・冷蔵・冷凍業の守り神

氷室神社は奈良市春日町にある、氷業の守護神をお祀りする珍しい神社です。毎年5月1日に行われる献氷祭には全国の氷業者が集まり夏の暑さを祈り商売繁盛を願って、海の幸を代表する鯛と川の幸を代表する鯉を凍結させた高さ1メートル程の氷柱を1対と花氷を奉納します。午後になると神社伝来の舞楽が奉献され奈良市の年中行事としても著名です。

氷室神社・献氷祭の由来

日本の古代律令国家には氷室に貯蔵しておいた氷を献上氷として天皇に奉る貢氷・賜氷の制度がありました。元明天皇が都を平城に遷された和銅3年(710年)、吉城川の上流に清流を引き入れて作った氷池と、氷を貯蔵する氷室が構えられ、氷室の守り神が祀られました。翌年からは氷室に貯蔵した氷池の氷が平城宮へ献上され、また、献氷の勅祭も始められました。これが献氷祭の起こりだと考えられています。

氷室神社のしだれ桜

氷室神社では4月1日頃、周辺の桜よりもひと足早く境内のエドヒガンというしだれ桜が見頃を迎えます。約10メートルほどの樹高を持つ桜の木は樹齢約100年で、毎年満開の頃は訪れる人々の目を楽しませています。

宮司さまからのごあいさつ

和銅4年(711年)に平城京の朝廷へ最初の献氷が行われて以来、奈良朝7代70年にわたって献氷は続けられたようです。各家庭に冷蔵庫が普及した今となっては、氷など珍しいものではなくなりましたが、逆に言えば現代の暮らしは冷蔵冷凍技術の恩恵に浴せずには成り立たないということでしょうね。この人間の生活と氷との切っても切れない関係が、献氷祭の続いていく理由なのでしょう。

氷室神社までの交通

■電車
JR奈良駅または近鉄奈良駅下車
バスで氷室神社前下車または奈良市内の循環バスで大仏前下車してスグ

周辺の観光

◎氷室跡

奈良県天理市の東部山間にある福住町には大昔、氷が貯蔵された氷室の跡があります。氷室神社の裏山にあたる室山や福住中学校、福住小学校などの裏山など、町内に点在する氷室跡は6箇所に及びます。

◎復元氷室

平成11年、福住町・未来クラブの皆さんの手によって見事な茅葺屋根の氷室が復元されました。昔さながら、冬には氷を氷室に収め夏になったら取り出します。そこで夏まで解けずに残った氷は福住町の「氷祭り」で振舞われます。